更新情報
2025年12月07日 ウェブサイト公開
2025年12月07日更新 リソースのサイトにThinkCollege関連書籍『知的障害のある大学生の教育、包摂、そして支援』の解説を紹介
2025年12月08日更新 アメリカのThinkCollegeは、知的障害者の高等教育保障のために連邦政府から5年間で1千万ドル(15億4千万円)の助成金決定が通知されました。
2025年12月10日更新 論文『知的および発達障害のある成人のための中等教育後の経験の利点』(メグ・グリガル他)の感想を掲載しました。
2025年12月12日更新 アメリカで知的障害者の大学進学を当たり前にした『高等教育機会法』について解説しました。
2025年12月14日更新 お問合せフォームを追加しました。
2025年12月17日更新 『アメリカのCTP制度に学ぶ― 知的障害者の高等教育保障と日本の現在地 ―』と題して、日本とアメリカの制度の違いについて言及しました。
ようこそホームページへ
このサイトにお越しいただき、心よりありがとうございます。
Inculusive College Japan Massan lab(インカレジャパンラボ) は、
知的障害のある人が“学びたい”という願いを、
そのまま大切にできる社会をつくりたいという思いから生まれました。
日本では、大学で学ぶことを望んでも、その道がまだ十分に開かれていません。
けれども、学ぶことは人が成長し、自分らしく生きるための大切な力です。
ここでは、国内外の研究や実践、大学での学びの可能性、制度や支援のあり方について、
わかりやすく、そして誠実に情報を届けていきます。
当事者、家族、支援者、大学関係者、そして同じ思いを抱くすべての方々と、
共に未来をつくるための“対話の場”でありたいと願っています。
小さな一歩の積み重ねが、確かな未来をひらきます。
どうぞ、ゆっくりとご覧ください。
あなたの気づきや思いが、次の大きな力になります。
― 知的障害者の「大学で学ぶ権利」を問い続けて―
私はこれまで、一貫して「学ぶこと」と「人の尊厳」を軸に生きてきたわけではありません。
むしろ、遠回りと試行錯誤の連続でした。
若い頃の私は、大学で学ぶことや研究の世界に、特別な使命感を持っていたわけではありません。
しかし、社会に出てから、人が「学ぶ機会」を奪われていく現実に、何度も直面しました。
障害があるという理由だけで、選択肢が狭められ、
「最初から期待されない」人生を歩まされる人たちが、確かに存在していました。
福祉の現場に身を置くようになり、
私は知的障害のある若者やその家族と数え切れないほど出会ってきました。
そこで繰り返し耳にしたのは、
「学びたかった」「本当は、もっと力を伸ばしたかった」という声でした。
日本では、障害児教育・特別支援教育は制度として整備されてきました。
しかし、高等教育、特に大学においては、
知的障害のある人が学ぶことは、いまだに“想定されていない存在”です。
制度がないのではなく、議論そのものが置き去りにされてきたのです。
私は次第に疑問を強くしました。
なぜ、高校卒業までは「学ぶ権利」が語られるのに、
18歳を過ぎた途端、それが消えてしまうのか。
なぜ、「働くか、福祉か」という二者択一しか用意されていないのか。
その問いへの答えを探す中で、私は実践に踏み出しました。
福祉と教育を組み合わせた「福祉事業型カレッジ」という挑戦です。
前例はほとんどありませんでした。
制度にも、理解にも、何度も壁にぶつかりました。
それでも、学び続ける若者たちの姿は、私の確信を揺るがすことはありませんでした。
時間はかかっても、環境が整えば、人は変わります。
自分で考え、発言し、仲間と学び合う中で、
彼らは確かに「学生」になっていきました。
私はここで、はっきりと気づきました。
これを個々の成功事例で終わらせてはいけない。
実践を理論にし、社会に共有しなければならない。
そう思うようになったのです。
65歳という節目を迎え、
私は法人の代表という立場を離れ、研究に専念する道を選びました。
これまで、現場で積み重ねてきた実践を、
次の世代につなぐための選択でした。
本研究室は、
知的障害者の高等教育を「特別な挑戦」ではなく、
「社会が当然に保障すべき権利」として位置づけることを目指しています。
政策、制度、大学、福祉現場、地域社会。
それぞれが分断されたままでは、この課題は前に進みません。
研究とは、机上で完結するものではなく、
社会と現場を往復しながら問い続ける営みだと、私は考えています。
この研究室は、完成された答えを示す場所ではありません。
問いを共有し、議論を重ね、実践を積み上げていくための「場」です。
知的障害があっても、大学で学ぶことはできる。
そしてそれは、特別な人のための特別な制度ではなく、
社会の成熟度そのものを測る物差しだと、私は信じています。
この小さな研究室から、
日本の高等教育と福祉の在り方を問い直す動きが広がっていくことを願っています。